茅ヶ崎市|農園こえる|城月 直樹さん
https://www.instagram.com/nouenkoeru/
藤沢市茅ヶ崎市北部でお野菜を作りながら、いろんなことを超えて肥えて(豊かに)繋がっていけるように暮らしています。
毎週水曜日11:00〜15:00
茅ヶ崎市香川駅近く熊澤酒造内にて直売やってます。
これが野菜か!
もともと大学では畜産を学んでいたんです。就職先が実験動物系で、暗い感じがしてやめておこうかなと笑。それで広告業界に入ったんですけど、大量消費を促す仕事に違和感を感じるようになって。「定年まで働くんじゃなくて、ずっと続けられる仕事がしたい」と思っていたときに、お米農家の人に出会って、「米作りっていいよ」と言われたのがきっかけで農業に興味を持ったんですよね。
それでも最初の頃は野菜なんてほとんど食べなかった。ある日、研修先の相原農場で、夕日に染まる畑でブロッコリーの脇芽を収穫して「食べていいよ」って言われたとき、最初は「生のブロッコリーなんて無理でしょ」と。でも食べたら衝撃だった。体の中でスーッと広がる感じがして、「これが野菜か!」って感動した。
最初は厚木の農家で研修を受けたんですが、そこで普通に農薬を撒いてるのを見て、「これ、触るだけで危険って言われてるのに、食べ物に撒くの?」って疑問を持ってしまった。1週間で辞めて、有機農業を調べたら相原農場が見つかって、直接連絡して研修をお願いしたんです。最初は「農薬を使うのは良くない」と思っていたけど、今はその考えも変わった。有機農業が大切なのは間違いないけど、農薬を使っていても愛情を持って野菜を作っている農家さんもたくさんいる。例えば茅ヶ崎でも本当に尊敬している農家さんもいらっしゃいます。だから「農薬=悪」じゃなくて、みんなで持続可能な農業を続けていくことが大事なんだと思うようになってますね。
オーガニックだけじゃなく、農業の本質を知る
農業をやる中で気づいたのは、そもそもキャベツや白菜って品種改良されていて、農薬や化学肥料が前提になっている作物だってこと。もともとキャベツの原種はケールで、海の近くの岩場に生えてる強い植物だった。それを甘くて柔らかくしていった結果、虫に食われやすくなった。だから農薬で守るっていうのはある意味、理にかなっている。
それをあえて無農薬で育てようとしてる自分たちは、ある意味「無謀な挑戦」をしてるわけで。農薬や化学肥料が当たり前の品種を、神奈川みたいな高温多湿な場所で無農薬で育てるっていうのは、かなり厳しいことも多い。例えば、今年みたいに異常気象が続くと、虫に食われるのは当然だし、「全部オーガニックにしようよ!」っていう考えはちょっと現実を知らないなと思うこともある。
それでも、有機農業をやる意味は大きいし、挑戦し続けたい。ただ、大事なのは「敵意を持たないこと」。農薬を使う農家も、オーガニック農家も、それぞれのやり方で食を支えている。それを分断するんじゃなくて、お互いのやり方を尊重しながら、みんなで農業を続けていけるようにするのが理想だと思ってます。
地域と食のつながりを大切にする
野菜を作っていて嬉しいのは、やっぱり「美味しい」って言ってもらえること。でも、それだけじゃなくて、「どうやって作られたか」をもっと知ってもらいたい。例えば、「今年の里芋は天候の影響で大変だったね」とか、「このカブは少し硬いけど、こうやって料理すれば美味しいよ」とか、そういうことを知るだけで、食べるときの気持ちが変わると思うんだよね。
農業って、実は自然破壊でもある。ビニールを使うし、トラクターも動かすし、完全に循環型とは言えない。でも、なるべく環境に負荷をかけずにやる方法を考えながら、続けていくことが大事なんじゃないかと思ってる。
あと、オーガニックよりも「地域」を大切にしたい。例えば、「千葉からオーガニックの野菜を取り寄せてます」って言われても、正直ピンとこない。それよりも、「近所の○○さんが作った小松菜を食べてる」っていう方が、ずっと意味があると思う。その方が安心感もあるし、地域の農家を応援することにもつながる。
直売をやってると、「この野菜はあの人が喜ぶだろうな」って思いながら収穫することがある。それってすごく幸せなことだし、そういうふうにお互いのことを思いながら生活できる地域が最高なんじゃないかなと自分は思っています。
茅ヶ崎市|農園こえる|城月 直樹さん
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