100年先をみつめる保育園プロジェクト   仲間たち  

調理担当|西湘エリア|WiLLD| 山本奈津子さん

2025.03.07

調理担当|WiLLD| 山本奈津子さん
https://willd.jp/

 

近くの食材を使い、あるもので工夫する給食づくり

うちは「WiLLD」という名前で、オーガニックのケータリングやヴィーガンのお菓子を作ってるんだけど、今は成章エリアの3つの保育園の給食も担当してる。最初は大磯の園から始まって、同じ建物でオーガニックカフェを開くことになったから、カフェと給食で同じ食材を使えるように、近くの農家さんとつながって仕入れる準備をしたんだよね。

農家さんから毎週「今ある野菜」を持ってきてもらって、その野菜に合わせてメニューを考える。カフェも「決まったメニューを出す」んじゃなくて、「手に入った食材で料理する」スタイルだから、給食も同じ考え方でやってる。だから、絶対に農家さんを見つけなきゃいけなくて、マルシェで直接声をかけたり、ネットで探してメールしたり、友達づてに紹介してもらったりして、気づいたら8〜10ヶ所くらいの農家さんとつながることができた。

「近くのものを、できるだけ自然のまま食べる」っていうのがすごく大事だと思ってるし、そういう給食がもっと広がったらいいなと思うよ。

旬の食材を活かして、子どもたちが自然に食べる給食

子どもたちにとって、一番わかりやすいのは「美味しいかどうか」。旬の野菜や無農薬の野菜は味が濃くて本当に美味しいから、そういうものを食べたら自然と「野菜って美味しい」って思えるんだよね。逆に、大量生産された古い野菜は美味しくないから、それが原因で「野菜嫌い」になっちゃう子もいると思う。

うちの給食を食べてる子たちは、元気に活動してるし、ちゃんと育ってる。こういう食事がもっと広がればいいなって思うけど、現実的には難しいことも多い。でも、みんながこういう形を選べば、もっといい方向に進むんじゃないかなって思ってる。

季節がずれてても、子どもたちが欲しがる野菜ってある。例えば、ニンジンは料理に欠かせないし、代わりになるものが少ないから、ない時期はちょっと困った。でも、だんだん慣れてきて、彩りのある野菜で代用したりして、今はそんなに困らなくなった。最初は「ニンジンが入ってない肉じゃがってどうなの?」って思われることもあったけど、先生や保護者の方に「どういう思いで給食を作ってるのか」を伝えることで、理解してもらえるようになってきたと思います。

食材の背景を伝えながら、農業を支える仕組みを作る

給食を作る上で、食中毒対策はすごく大事。保育園は0歳からの子が食べるから、大人よりもずっと気をつけないといけない。だから、道具も全部分けて、マニュアルもしっかり作ってる。オーガニックっていうと、自由でナチュラルなイメージがあるかもしれないけど、実際はめちゃくちゃルールが厳しい。でも、それは「食べ物は人の命を預かるもの」だからこそ、ちゃんとしなきゃいけないって思ってる。

うちは、野菜もお肉も魚も、それぞれ一番近くの生産者さんから仕入れてる。例えば、お肉は開園当初からずっと同じお肉屋さん、お魚は大磯や二宮の漁港から届けてもらってる。農家さんの野菜も、できるだけ毎週買うようにしてるし、予想以上に収穫が多かったときもちゃんと買い取る。値下げ交渉は絶対にしない。それは、農業がちゃんと「仕事」として成り立つようにしたいから。

イノシシの被害にあった農家さんが「野菜が取れなかった」と申し訳なさそうに言ってくることもあるけど、本当に大変なのは農家さんの方なんだから、そんなの全然気にしない。それも農業のリアルな一部だから、ブログで「無農薬の野菜ってこういうものなんだよ」って発信することで、もっと多くの人に知ってもらえたらいいなって思ってる。