100年先をみつめる保育園プロジェクト   仲間たち  

農家|横浜|青葉グリーンファーム|内藤 泉さん

2025.03.07

農家|青葉グリーンファーム|内藤 泉さん
https://www.aobagreenfarm.com//

 

有機栽培は特別じゃなく、昔は当たり前だった

有機栽培って特別なものみたいに思われてるけど、戦前まではそれが普通だったんだよね。自分も畑をやってるけど、それだけだと品目が限られちゃうし、農閑期ができる。でも、神奈川県内の48人くらいの農家と協力して「有機ネットクラブ」を作って、順番に作付けすることで、年間を通して安定した供給ができるようにしてる。

ただ、有機の野菜を市場や農協に出すと、虫食いがあるだけで値段を下げられたり、箱ごとランクを落とされたりする。それなのに有機野菜を求める人は多いっていう矛盾がある。だから、農家と消費者を直接つなぐ仕組みを作ろうと思ったんだよね。

有機栽培って、化学肥料と違ってすぐに植物が吸収できる形じゃないから、微生物の力を借りてゆっくり栄養を作っていく。その手間がかかるぶん、大量生産には向かないけど、だからこそ大事に作られてるってことなんだよね。

保育園や学校での有機野菜の導入は難しいけど、少しずつ広げている

最初は自分でジャガイモとタマネギを作って売ってたんだけど、無農薬だって言ったら思った以上に需要があった。そこで他の農家にも声をかけて、みんなで協力して作るようになった。

保育園や幼稚園、認定こども園にも有機野菜を広げようとしてるけど、なかなか増えないのが現実。大量調理をしている保育園だと、虫がついてる野菜を見落としてしまうこともあって、「大根だけならいいけど、他の野菜はちょっと…」みたいなことを言われることもある。

でも、こういう状況を変えたくて、小学校のボランティアで「自分たちで野菜を育てて、それを給食に使う」という活動を始めた。もう3年くらい続けてるけど、やっぱり自分で育てた野菜を食べる経験って大事だと思う。こういう取り組みが増えれば、もっと自然と有機野菜が広がるんじゃないかな。

農家が直接売ることで、価格も安定するし食文化も守れる

農家が直接売ることで、価格も安定するし食文化も守れる
普通、野菜って市場で競りにかけられるから、農家は自分で値段を決められない。でも、自分たちで直接販売すれば、適正な価格で売れるし、利益も農家にしっかり残る。流通を通すとどうしても高くなっちゃうけど、直接売れば例えばキャベツも500円じゃなくて300円で提供できる。こういう仕組みを増やせば、日本の農業のあり方も変わっていくはず。

今の日本の野菜って、味が薄いものが多くなってると思う。昔ながらのニンジンやゴボウって、味が濃くてしっかりしてた。親がそういう味の違いをちゃんと知って、子どもに伝えていくことが大事だと思う。

最近はオーガニックが一時的に流行ったけど、長続きしないことも多かった。形が揃ってないとか、調理しづらいとか、地方から運んでくると高くなるとか、いろいろ理由はある。でも、地元のものを使うならそんなにコストも変わらないし、無理なく続けられる。だからこそ、地元で育てたものを地元で食べる、そんな循環をもっと広げていきたいね。